プラダを着た5歳児

プラダを着た5歳児

ゲーム会社・IT企業を経て社会から静かにフェードアウト。精神年齢5歳児の人が綴るブログ。

美意識とのファースコンタクト

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頭の中はませてた割に、流行や美意識には鈍感で、クラスメイトの発言に驚かされる事も度々あった。

小学生の頃の話だが、ある女子の言葉に私は耳を疑った。

「“鼻が低い”って言われた事ある?」
「そんな失礼な事言う人いないでしょ」

 

えっ…( ⚆ᾥ⚆)…?

 

鼻が低いと言う事はどうやら失礼に当たるらしい。それを聞いた私は静かに驚いていた


(わたし、言われた事ありますけど?!)

 


「アンタ鼻が低いね」と言われたのは小学校3年生の時だ。皆がその知識をどこで仕入れてきたのか知らないが、世の中には“鼻が低い”という概念が存在する事を私はそのとき初めて知った。
「“鼻が低い”なんて、そんな失礼な事言う人いないよね」
そんな事を言う女子が現れたのは、それから間も無くのことだ。私はクラスメイトに言われた事を脳内で反芻し、その言葉の意味するところを考えていた。
「アンタ鼻が低いね」…私は自力でどうする事もできない欠点をどストレートに揶揄されていたのか。


その頃はまだ 【鼻の低さ】と【美醜】を関連付けて考えるような事はしなかったものの、「アンタ鼻が低いね」という言葉はボディブローのようにじわじわと効いていた。

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数年後、私は進路を自分の特技が生かせるCGデザイン系に定めた。コンピュータグラフィックスはマリオがピョンピョン跳ねていた時代から数年のうちに目まぐるしい発展を遂げ、私が高校生の頃には全編3DCGで制作された映像も珍しくなくなっていた。kawaiiを全力で追求する国内産のCG映像は人体を、とりわけ顔の造形について、美しさという観点から考えるきっかけを私に与えた。

ちょうどその頃ファイナルファンタジー10のキャラクターCGにどハマりしていた私は、ビジュアルブックを買って顔の造形を熱心に研究していた。

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中でもヒロインのユウナの鼻筋の通った綺麗な顔立ちは目を引いた。「なるほど、美人とはこういうものなのか」と思っていた。

 

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当時のハイエンドモデル

ふと、昔「鼻が低いね」と言われたことを思い出し、合わせ鏡にして自分の横顔を確認してみた。写真に写った自分が『ふてくされた顔』である事は知っていたものの、それまで自分の顔の造形については深く考えたことも無かった。普段鏡で見ていた自分の顔はそれほど悪いものではなかったからだ。低く見積もっても自分の容姿は「並だろうな」と…。しかしその思い込みがいけなかった。

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「これ、誰?!」

 

初めて見る自分の横顔を前に私は軽く動揺してしまった。なんか鼻が低いのだ。思っていた以上に。これが自分であると認識できない程に。なるほど、これは「アンタ鼻が低いね」と言われても仕方がない。並どころではない、これでは下の下ではないか。

人間は鏡を見るとき無意識に顔を作っているという事を聞いた事はあったが、それはどうやら本当だったようだ。別の角度から自分を捉えた事で、私は自分の顔をより客観視できるようになった。私がそれほど悪くないと思っていた顔は、私が勝手に作り上げた虚構だったのだ。

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美の基準から自分が大幅に外れている事を知った瞬間、世界が一瞬にして灰色になった。鼻が低いという事が、見た目の美しさをこんなにも左右する事をその時初めて理解した。

それが、理想と現実の乖離に惨めな思いをした高校生の頃。美に無頓着だった私に、人よりほんの少し遅れてやってきた思春期だった。

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